「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」研究開発領域

多様化する嗜癖・嗜虐行動からの回復を支援するネットワーク

CONSTRUCTION

理論構築サークル
回復 理論構築サークル

ハーム・リダクション研究会
石塚 伸一
(龍谷大学法務研究科 教授)

 覚せい剤等の禁止薬物についての物質依存については、回復のプロセスにおいて再使用 (リラプス)すると、再犯と定義されてしまうことから、失敗の原因を認知し、回復に繋げていくことができない。多くの依存症者が、再使用を隠蔽することで、回復のチャンスを奪われるという状態が続いている。
 米国のドラッグ・コートでは、刑事司法からのダイバージョンによって、プログラムに繋げ、プログラム中の再使用については、本人に継続の意志があれば、再使用を再犯ではなく、反省の契機と位置づけている。また、欧州では、注射針や代替薬物 (メサドン等)の提供や自己使用の非犯罪化・少量所持の非刑罰化などのハーム・リダクション政策が実施され、当事者および地域社会の健康への実害を可及的に逓減するための工夫がなされている。
 本研究会では、特定の依存物質に対する規制の可否・適否を、ハーム・リダクションの視点から再整理することによって、薬物問題の位相か、処罰から回復へと向かい、多くの依存者の回復につながることをめざす。

主な実施項目

  • ・欧州のハーム・リダクション政策の現状と理論状況・評価について調査研究する。
  • ・米国のドラッグ・コート政策と薬物政策連盟の理論的対立とその背景事情について調査研究する。
  • ・国連のヘロイン・大麻等の禁止薬物乱用者の自己使用犯罪化の動きについて調査研究する。
  • ・日本の刑事施設等における多種多量投与などについての調査し、非規制薬物等の依存についても調査検討する。
  • ・物質依存ユニット等からの問題提起を受けて、日本型ハーム・リダクションの可能性を検討する。