調査研究セクター

万引き・摂食行動ユニット

ユニットリーダー:後藤 弘子
(千葉大学 法政経学部 教授)

女性の依存・嗜癖行動者については、男性と異なる回復支援が必要である。本ユニットでは、万引き・窃盗癖(クレプトマニア)のほか、過食・拒食等の摂食行動を含めた女性を中心とする依存・嗜癖行動者を対象として、これまで「ダルク女性ハウス」や「リカバリー」などで行われてきた支援モデルを検証することによって、“えんたく”モデルの構築にとって何かが欠けているのか、何が必要か、を明らかにし、そのうえで、ケース円卓会議の開催を実施する。

また、本ユニットでは、女性の依存・嗜癖行動と万引きとの関係や、それらの行動からの回復のメカニズムを明らかにすることで、女性の依存・嗜癖行動からの回復を支援するのにより有効現在な支援の方法を模索することをめざす。

本研究によって、女性の嗜癖行動の回復のメカニズムやそれに必要な支援が明らかになれば、現在行われている医療的な支援、刑務所における教育的支援、社会における生活支援などの回復支援が適切なのかを検証することか?て?きる。また、新たに確認された回復メカニズムのもとで、息の長い女性たちの生活支援の枠組みを“えんたく”モデルとして再構築するという成果も期待できる。

主な実施項目

  • 万引き・摂食行動における隠されたニーズの確定について行動科学的、心理学的、医学的に調査する。
  • 万引き・摂食行動からの回復の支援のモデルを再構築する。
  • 「ダルク女性ハウス」「リカバリーハウス」「赤城高原ホスピタル」などの支援現場での万引き女性や摂食行動女性に対するケース円卓会議とネットワーク円卓会議の実施を行なう。
  • 女性の依存・嗜癖行動からの回復のための研究や実践の成果を踏まえた新たな回復支援プログラムを開発し、学会報告、学術論文、研究書物等を通じて成果を発表するとともに、回復プログラムの担い手を育成するための回復プログラムの研修カリキュラム・教材を開発し、研修等を通じてその普及に努める。

調査研究セクター

インターネット・携帯電話ユニット

研究員:橋元 良明
(東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 教授)

2015 年に橋元研究室と総務省情報通信政策研究所が共同で実施した全国調査(ヤングの8項目基準による対象1500人の調査) によれば、インターネット依存傾向者は10代で13.7%、20代で7.3%である。新たな調査研究により、依存傾向者の実害状況、依存からの離脱者の回復過程を調査し、依存傾向者がどのように対処すれば離脱できるかを明らかにする。

この領域は、回復支援については未開拓な分野であるので、先行するユニットと協力しながら、挑戦的な回復プログラムの構築をめざす。

主な実施項目

  • インターネット依存者の比率測定、依存における学校・職場・家庭での実害状況、依存者の心理的特性等に関するネット調査を実施する。
  • 依存状態からの回復者へのインテンシブ・インタビューを実施する。
  • 一般社団法人・日本教育情報化振興会(JAPET)との協力関係に基づき、教育現場でのネット依存実態の啓蒙および依存からの回復手段の周知に努める。
  • インターネット等への依存からの回復のための研究や実践の成果を踏まえた新たな回復支援プログラムを開発し、学会報告、学術論文、研究書物等を通じて成果を発表するとともに、回復プログラムの担い手を育成するための回復プログラムの研修カリキュラム・教材を開発し、研修等を通じてその普及に努める。
  • 他の先発ユニットや万引き・摂食行動ユニットと合同研修会を開催し、先発ユニットのメソッドを共有し、萌芽的領域における回復モデルを開発し、新たなステークホルダーを開拓する。