2021年2月22日(月)、龍谷大学犯罪学研究センターとATA-net研究センター共催でシリーズ大麻ティーチイン第1回「大麻—禁じられた歴史と医療への未来—」がオンライン上で実施され、約130名が参加しました。今回は、大麻の使用罪の厳罰化に対する問題に対して、大麻の歴史と使用罪の厳罰化を行うべきかを大麻の基礎的な知識を共有した上で、意見交換を行いました。

目次

1.初めに

2.有用な植物大麻

3.大麻の薬効成分と薬事学

4.各国の大麻政策比較

5.間違えやすい大麻のあれこれ

6.大麻使用の歴史

7.大麻が禁止された経緯とその問題点

8.アメリカの大麻政策

9.ウルグアイの大麻政策

10.医療用大麻の有用性

11.税収アップにつながる大麻

12.大麻で困っている人たち

13.まとめ—大麻使用罪について—

14.質疑応答

 

龍谷大学ティーチイン「大麻—禁じられた歴史と医療への未来—」スライド

 

1.初めに

石塚伸一(本学法学部・犯罪研究センター長):現在日本では、覚醒剤は所持も使用も処罰され10年以下の懲役が科せられる一方で、大麻の所持は5年以下の懲役に科せられ処罰されるものの、大麻の自己使用は犯罪ではなく処罰されないとされています。しかし近年、大麻の自己使用についても犯罪として処罰するべきではないかという議論が厚生労働省の中の専門家委員でされるようになってきた。専門家委員会の意見を基に来年の3月4月には、大麻の自己使用に関しても処罰する法案を成立しようをという流れもみられます。

しかし、大麻についてあまり科学的な議論も行われておらず、なぜ大麻の使用罪については処罰されないと立法者が判断したかの理由を知らない人は多いです。国際的な流れでも、大麻のようなソフトドラックの自己使用については非犯罪化、非刑罰化を勧めることを国連で宣言がされています。そのため、今回のような日本の今まで処罰されていなかった領域を処罰化しようと流れは国際的な流れに抗っている行為であるといえます。

そこで今回は議論をするための前提の知識を皆で共有しようというのが企画の趣旨となります。ゲストスピーカーの方々をお呼びして今年の6月のアジア犯罪学会で議論を出来るような基盤をつくること目的としています。

第一回目の今回の企画では長吉秀夫さんをゲストスピーカーとして招いています。長吉秀夫さんは海外を旅しながらドラックやストリートカルチャーなどを見聞し『大麻入門』(幻冬社 2009年)、『ドラックの品格』(ビジネス社 2014年)、『大麻‐禁じられた歴史と医療への未来‐』(コスミック出版 2019年)を執筆されている方です。長吉さんよろしくお願いします。

 

長吉秀夫:よろしくお願いします。今回は歴史を含めて大麻の基本的な知識を共有させていただきます。

 

 

2.有用な植物、大麻

大麻というのは皆さんがご存じの通り植物です。大麻はアサ科の一年草、雄雌異株の植物で原産は中央アジアと言われています。和名では大麻草、あさ、大麻、英名ではカンナビス、ヘンプ、マリファナ、学術名ではCannabis Sativa L.などと呼ばれています。大麻の雌株の雌花の花穂に薬効成分が入っています。辞書での大麻の定義としては、①伊勢神宮から授与される御札、②幣の尊敬語、③麻の別称、④麻から生成された麻薬の4つがあります。

また衣服に使われる「麻」は「大麻」ではなく、亜麻、苧麻、ジュート麻、マニラ麻、サイザル麻、ケナフなどを指し同じ麻でも植物学的にはすべて異なるものとなりなす。科的用品品質表示法によると「麻」と表記されているのは、大麻ではなく、亜麻、苧麻のみであり、「大麻」を使った服は「植物繊維(ヘンプ)」と表記されています。

大麻は有用な植物で多くの部位を様々な用途で用いることができます。種は食品として用いることができ、麻の実のナッツやヘンプオイル、ヘンプミルク、麻のおからなどにもちいられ、おからはプロテインとして加工されることもあり、石油ができる前は塗料の溶剤としてヘンプオイルを用いており、ランプの明かりとしても用いられていました。葉っぱは医療品や肥料として用いることができます。大麻の根っこは土壌改良としても有用で地中深くから重金属等も吸い上げることができ、放射能に汚染された土壌を改良も可能ではないかという議論もされている程です。茎の心材は良質な木質となっており、エタノール燃料、紙、建材、プラスチック、麻炭、に加工することができ、強度がつよく耐火性の高い建材として用いることが出来ます。茎の皮は良質な繊維として、糸、ロープ、織物に用いることができ、神道の儀式で神様に捧げる精麻として用いることが出来ます。雌株の穂、花からはカンナビノイドという薬効成分が含まれており、これを乾燥させて医療品や嗜好品として用いられます。一説によると大麻からは25000種類の製品が出来ると言われています。SDGsに貢献できる可能性を秘めている植物でもあります。

 

3.大麻の薬効成分と薬事学

大麻の穂から取れる薬効成分であるカンナビノイドには120種類以上あり、有名なカンナビノイドは、THCテトラ・ヒドロ・カンナビノールとCBDカンナビジオールがあり、前者がマリファナの主成分であり、後者が酩酊作用はなくハイになる効果を抑制することができるものです。

現在の日本では薬理学上の判断と法律による禁止の判断が異なっておりそれが混乱の原因となっています。薬理学上でヘロインやコカインと同様に中毒性、危険性の高いアルコール、ニコチンは合法化され、アルコールやニコチンよりも中毒性、危険性が低いとされるマリファナは違法化されており薬事学上の判断だけでなく、経済的社会的要因で判断されていると考えることが出来ます。

 

4.各国の大麻政策比較

先進国G10の大麻政策を見てみると、国際的には大麻に対して寛容な理解を示しており、薬理学と法学上のねじれを解消しようという流れになっています。 大麻禁止の働きかけを開始し出したアメリカでも2019年の12月に行われたファームビルという農業政策の見直しでTHCが0.3%以下の大麻はヘンプと呼称し連邦法で合法化したことを皮切りに大麻産業用を拡大させています。医療用の大麻についてもアメリカはカルフォルニアの住民投票を契機に35州が合法化されています。サティベックスというイギリスGW社が開発したTHCテトラ・ヒドロ・カンナビノールとCBDカンナビジオールがほぼ1対1で入っている医療薬も臨床試験が終了しており、嗜好用に関しても、2014年から15州で合法化されています。

カナダでも2018年には産業用、医療用、嗜好用で全てが合法化されており、イギリスは産業用、医療用は合法化されており、嗜好用は違法ですが非犯罪化されています。その他の国でも最も厳しいとされる嗜好用の大麻が合法化されたり、非犯罪化されたり、刑罰が廃止されたりしています。嗜好用を違法としているスウェーデンであっても産業用とサティベックスの医療用の大麻は認められています。一方で日本は、産業用、医療用、嗜好用全てにおいて大麻を禁止しています。大麻取締法が制定されて以来、全く科学的な検証、議論なしに今に至っているといえます。

 

5.間違えやすい大麻のあれこれ

ここでおさらいを含めて間違えやすい用語を挙げてレクチャーしていきます。

ヘンプオイルは種を絞ったシードオイルの「ヘンプシード・オイル」と花穂を絞ったCBDカンナビジオールが含まれた薬用の「カンナビス・オイル」の2つがありこれらは全く別物です。また医療用大麻と聞いて特別なものと思う人もいますが、医療用大麻は嗜好用大麻と同じもので、両方ともマリファナのことを指します。これら違いは医療用大麻は衛生的に優れており、THCとCBDの割合が明確に検査されている点にあります。カンナビノイド医薬品はサティベックスやエビディオレックス、化学合成ではマリノールやナビロンなどが挙げられ大麻の薬効成分を抽出した薬品となります。

 

6.大麻使用の歴史

続いて大麻の歴史について話していきます。大麻は1万年前から薬草として用いられてきた痕跡やミイラが大麻をもっていた状態で発掘されていたりと大麻の歴史は古く、太古から用いられていたとされています。漢方薬の書物である「神農本草経」では大麻を「上品(じょうほん)」「中品(ちゅうほん)」「下品(げほん)」のうち「上品」という最も良い薬として、最も害がなく長期に服用できるものとして扱われていました。ここでいう「下品」は強力で即効性はあるが副作用があるもの(大きいもの)として扱われており、東洋医学の悪いとされる「下品」の薬は西洋医学で良いとされている薬とされておりこれらの認識の違いから西洋医学の見直しがされています。世界三大伝統医療である古代インド医学書「アーユルヴェーダ」では大麻は鎮痛剤や食欲増進罪、鎮痛剤、解熱剤として記載されています。中世ヨーロッパでは大麻は民間療法として用いられており、筋弛緩剤、生理痛や喘息、不眠症、片頭痛、アヘンの禁断症状からの治療として用いられています。日本でも大麻は縄文時代から用いられており、江戸時代の「大和本草」ではおこりに対する薬、鎮痛剤として大麻が用いられていたことが記されており民間療法として用いられていた経緯います。

 

7.大麻が禁止された経緯とその問題点

ではなぜこの大麻が禁止されていたかというと、19世紀にアメリカやヨーロッパ大麻草をアルコールに溶かした大麻チンキが販売されていましたが、アスフェリンが普及したのと同時に規制され始め、大麻を医療用に用いる場合、その効用に個人差があることと注射器が発明されると油性の薬剤である大麻は使いにくく、効き目がはっきりわからないため徐々に使われなくなっていき、そのことをきっかけに禁止され始めました。日本では日本薬局方の第一局の1886年から、第五局の1951年までの65年間鎮痛剤、ぜんそく薬等として収監されており日本薬局方ができる10年前からも内閣府から大麻を用いた営業許可が出されており、戦前まではタバコと同じように買うことが出来ていました。1925年のアヘン条約を契機にアメリカの影響もあり大麻の規制がされ始め、1937年、アメリカではメキシコ移民の排除や禁酒法解禁に対する役人の失業防止の目的をかねてマリファナ課税法が制定され大麻を取締が行われ、1941年にはアメリカ薬局方からマリファナ、大麻が排除されました。日本でも1948年GHQの占領下で大麻取締法が制定され日本でも大麻が禁止され、1961年には麻薬に関する単一条約が結ばれ、現在に至ります。

大麻単一条約によると「大麻」とは「名称のいかんを問わず、大麻植物の花又は果実のついた枝端で樹脂が抽出されていないもの」と定義されています。しかしマリファナの主成分であるTHCが発見されたのは1964年であり、大麻に対する化学が発展し出したのはこれらが発見されてからですので、これらの要素を考慮して、時代の流れに合わせ柔軟に法律も変換させる必要があると思います。また単一条約では産業上園芸用の目的として大麻は禁止されておらず、大麻の研究は積極的に行うべきであるとしており、日本の法律は、本来積極的に行うべき大麻の研究も禁止していることになります。

 

 

8.アメリカでの大麻政策

アメリカの合法化はどんどん進んでおり、違法としているのはわずか2州のみで、医療用のみを合法化しているのは35州、非犯罪化が進んでいるのは15州、大麻を全面で合法化しているのは15州となっております。また非犯罪化を連邦法でも定めようとする動きもあります。またアメリカは大麻を吸っている人が多すぎたから止むを得ず合法化したとように思われがちですがそれは違います。アメリカは税収が上昇するというメリットを見越して住民投票で大麻を合法化された経緯があり止むを得ず合法化した訳ではありません。実際に大麻を合法化したことで14年から日本円で1755億円の税収を大麻だけで得ることに成功しています。大麻の犯罪化を加速させ日本は世界の流れを逆行していては国益を損なう恐れがあることも認識する必要があります。アメリカは大麻に含まれるCBDカンナビジオールが癲癇の発作を抑制する効果があり、週に300回の癲癇を起こしていた6歳の少女にCBDを投与することにより週に1回に抑えることに成功し少女の命を救うことが出来たというドキュメンタリーをCNNで全米放送したことが契機に大麻の合法化が進み出しました。世界でもこのような流れが広がっており、日本でも小児癲癇にCBDを投与する動きが出てきています。

 

9.ウルグアイの大麻政策

南米ウルグアイでは2013年に当時の国際法を無視して大麻の全面合法化に踏み込みました。そのことで税収を上げると同時に裏社会での大麻産業の金の流通を止め、健全な産業を構築することに成功しています。タイでは2019年2月に医療用大麻を合法化しており、国前提で大麻の医療産業を発展させようとしています。国連麻薬委員会でも大麻の医療用価値を認め、従来は大麻を特に危険な依存性の麻薬であり医療用としての価値はないと評価していましたが、現在は医療用としての大麻の価値を認めています。

 

10.医療用大麻の有用性

続いて大麻の有効性と安全性について解説していこうと思います。大麻、マリファナの主成分であるカンナビノイドの受容体を人は元来持っておりマリファナと同様の成分であるエンドカンナビノイドを人は分泌しており、この脳内マリファナは食欲、免疫調整等を調整するものです。加齢や過度なストレスによって、エンドカンナビノイドが分泌されなくなると神経と免疫システムが正常に機能しなくなるカンナビノイド欠乏症になってしまうため、これらの治療に対して医療用大麻は有効であると言えます。

THCはアルツハイマーや拒食症、食欲増進、慢性的な痛みに効果があるとされ、CBDは不安や癲癇、うつ病、炎症、神経症、パーキンソン症、PTSDに効果があると言われています。

よくある意見として大麻を使用すると精神疾患になるというものがありますが、それは確証のない意見です。2002年の薬物乱用諮問委員会では大麻の使用と精神病との明確な因果関係は実証させませんでした。またオランダ国立精神衛生依存症研究所が1997年に報告した、「マリファナが他のコカインやヘロイン等のハードドラックを使用するきっかけになる」という意見については、ハードドラックを入手する環境がマリファナを入手する環境と同化しているためであると僕は思います。そのためマリファナの市場を表立った市場に分離すれば良いので、これを理由に大麻やマリファナを禁止する理由にはなりません。また依存性が強いという意見については先程の紹介した薬事学の見解をみた通り、依存性は強いものではありません。

 

11.税収アップにつながる大麻

では実際に大麻を合法化したことによって受けた影響について、アメリカでは、成人のマリファナの使用率は当然増加しましたが、自殺率、暴力犯罪、運転者死者数、他の薬物の使用率、刑事司法支出全て横ばいであり、今のところ重大な悪影響は見られません。むしろ州の税収が増加したことによりメリットが大きいです。

 

12.大麻禁止で困っている人たち

続いて大麻禁止で困っている人達を紹介していきます。第一に医療用大麻を必要としているがん患者などが挙げられます。末期癌患者である元フランス料理のシェフ山本正光さんは可能と思われる治療を試みた上で、末期癌の治療に大麻が有効であるということを調べ、大麻を自宅で栽培し逮捕され結審の8日前に肝細胞に亡くなりました。彼は医療用の大麻を使用したおかげでオピオイド系の薬をあまり使用せずにいられました。そのため、最期まではっきりした意識をもって穏やかに亡くなりました。このような治療用大麻を必要な人に届けられる社会になれば良いなと僕は思っています。第二にC B D製品やヘンプ産業でビジネスを始めたい企業が挙げられます。ヘンプ産業は国益や地域創生に与える影響が大きく北海道では、ゆめぴりかを生み出した農学博士の菊地博士をはじめ、ヘンプ産業の研究栽培を開始に対して法改正を求め動き出しています。

他国ではTHCの濃度の基準値を設定して取り締まっているのに対して、日本ではTHCの基準の数値を定めていません。基準値を定め合法化し、表の市場で大麻産業を行った方が大麻の抑制やコントロールはしやすいというメリットを見て合法化に賛成している人もいます。

 

13.まとめ—大麻使用罪について—

最後に本題となる現在日本の大麻使用罪の議論の問題点について話していきたいと思います。2021年1月には有識者を交えて大麻等の薬物対策のあり方検討会が開かれていますが、警察では大麻に対する取り締まりが厳しくなっているのが現在の現状です。大麻を禁止し犯罪化を進めることに何か別の意図があるのではないかと思います。もともとなぜ大麻の使用罪が存在しないかというと、戦後GHQは大麻の使用を含めて禁止しようとしましたが、大麻を栽培する農家保護のため免許制にし、使用罪を制定しませんでした。もともと大麻取締法はマリファナを禁止する方というよりかは特許をとった大麻栽培を行う農家を保護し支えるという側面が強かったという背景があります。そのため厳罰化させるというよりかは罰金刑を復活させるか、もしくは禁固刑ではなく非犯罪化、軽犯罪化し前科のつかない自動車のスピード違反のように取り扱う方が良いのではないかと思います。

現在、亀石倫子弁護士達のグループをはじめとした団体が、ハームリダクションへの転換を呼びかけておられますので、興味を持った方はどうぞよろしくお願いします。

まとめると、①大麻は大いに議論すべき話題であり②大麻は日本の文化であり税収にも貢献できること③使用罪を導入しても警察とマトリの利権的な仕事が増えるだけであること④厳罰化、非犯罪化、合法規制化、軽犯罪化の選択肢があるので、厳罰化ではなく軽犯罪化でも良いのではないかということを提案させて頂きます。

 

 

14.質疑応答

石塚伸一:ありがとうございました。大麻の使用を禁止し犯罪化を進めることに意図があるのではないかとありましたが、今回大麻を禁止し犯罪化を進めるという背景には、特定の人を除いて犯罪化によって多くの人に大麻を禁止し、特定の特別の人だけに大麻を許可することで、一部の人に利権を独占させようという意図があるのではということでしょうか。

 

長吉秀夫:そうですね。実際に薬品としてお医者さんが大麻の医薬品を用いるというのも大事だと思いますが、民間薬として普及することが必要だと思います。アメリカでは民間薬としてベランダで痛み止めとしてハーブを育てて用いているようですがそのような自由で幅の広い状況の方が好ましいと思います。

 

石塚伸一:日本で大麻産業が発展していない一方で、アメリカなどは大麻産業が発展しているためTPPのようなもので貿易が開放された時に日本がアメリカから大麻を買わされてしまうという状況も将来的にはあり得ますよね。

 

長吉秀夫:十分あり得ますね。このまま行ったらそうなりえますね。

 

石塚伸一:あんなに薬物に対して厳しいとされていたタイが2019年に一定程度の医療用大麻を合法化、国内の大麻産業を育成しようとした事実があるということですよね。

 

長吉秀夫:そうです。このままだとアメリカなど他国のマーケットに食べられてしまうという危険がありますね。マレーシアやオセアニアのアジアの国は全部大麻マーケットに向いて舵をとっている中、日本の大麻政策はどうもぎこちないどこへ向いているのかわからないものになっています。

 

意見提供を終えた後の質疑応答では、大麻所持で逮捕された未成年の少年が「大麻は合法である」と主張した場合その少年をどのように扱えば良いかという問題について、少年が「なぜカナダが合法なのに日本は違法としているんだ」という主張はあり得るが、合法化された国でも未成年者の使用は違法であり十代で大麻を用いることはタバコやアルコール同様リスクの高いことや、その少年の話を聞いてあげる人がいなかったことに原因があり、少年がなぜ大麻をやるのかということに時間をかけて聞いてあげることが必要であるのではないか。そして1つ1つにわからない事について答えてあげないとこの子の成長が見込めず、今回どうして合法だというのか、詳細を聞くことがその少年が成長するチャンスに繋がるため、話したいだけ話させてあげて、それを聞いて答えてあげる人とたしなめる人の2人が必要なのではないかという議論が行われました。また大麻政策を改革するに至って、日本には「ルールをちゃんと変えよう」、「ルールを考えて定めよう」とするオピニオンリーダーがいないため、政策転換が行いづらいことなどの議論が活発に行われました。また子供が大麻から効果的に遠ざけるにはどうしたらいいかという問題では、大麻に対する恐怖心を抱かせ、大麻に嫌悪感を持たせることで引き離す強権的な方法をとるのではなくしっかりとした科学知識を教える方が良いのではないか、大麻に関わったことない学校の先生が大麻教育を行っても説得力はなく、薬物教育自体が形骸化した空虚なものとなっており、大麻に対する専門家や使用経験のある人でない限り、少年の大麻使用を説得するのは難しいのではないのか、日本の薬物教育はアメリカの薬物教育とは異なり、大麻の科学的知識の裏づけ無しに教育を行っていることや、危険な大麻の使用を少年が行わないようにすることを考慮してないこと問題なのではないか、大麻を合法化し健全な市場に出せば少年と反社会的な人々との関係を断ち切ることは可能となるのではないのか、などの意見交換がなされました。

 

最後に石塚伸一教授と長吉秀夫さんから、この問題に対しては永吉さんのお説を拝聴するだけでなく、各々が持っている大麻問題に対する認識知識は必ずしも同じものではなくそれぞれの経験や地域によって異なっているため、それを共通化していくのが1つの課題となり、薬物問題は人権問題であり命の問題でもあるので厚労省の一存だけで判断するのではなく多くの省庁と市民がこの問題について話し合い明確に声明を発表すべきであると述べられ、第一回ティーチインを閉められました。

 

 

次回のティーチインの記事では、ヨーロッパやアメリカで大麻に対するスティグマとの戦いダイバーシティーの問題を理解するため、ポルトガルとオランダなどのヨーロッパについての大麻事情の知識を共有する記事を作成します。

 

第2回記事へ

2回ティーチインヨーロッパの大麻事情 (次回の記事)

現在も大麻問題に関するティーチインは行われています。

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